三人それぞれ別に部屋へと案内され、その部屋に待機していた二人の女官から、シャワー―と言ってしまっていいのかは分からなかったが、部屋の隅の天井から小さな滝となって流れ落ちてくる水―で体を綺麗にし、髪を梳かれ、服を着替えさせられ、と甲斐甲斐しく世話を焼かれた末、水日はベッドに横になっていた。 家のベッドよりも数倍、数十倍、もうちょっと色をつければ数百倍と言ってしまってもいいだろう。 それくらいフッカフカで寝心地の良いベッドではあるのだが、一向に夢の中にinすることは出来ない。 ゴロリゴロリと「体の中をシェイクしてるの?」と訪ねてみたくなるほど、忙しなく寝返りを打ちながら、 水日は見慣れない部屋の中を見回していた。 どれも馴染みのない家具ばかり。その中でも一段と目を引くのは、壁に取り付けられてある燭台。その燭台自体はただの銀色の皿だが、その上でゆらめく黄金色の炎は水日の目を捕らえて離さないでいた。 部屋の中を支配する宵闇の中、橙の光を纏いゆらめいているその炎は実に幻想的だった。 何処に視線を遣っても、退屈はしない。しかし、今水日が求めているのはそうした退屈を紛らわす為のものではなく、疲れきっている心を休ませるための睡眠だった。 しかし、それが訪れる気配はない。 「・・そりゃムリだよね 」 ぽつりと零した呟きには、溜息が込められている。 どうにも、眠ることはできそうにない。 水日が解釈するに、今の自分の現状はこうだ。 いきなりオカシナ場所に瞬間移動し、気持ちの悪い魔物という生き物を間近に見せつけられました。それを撃退して案内されたのは超馬鹿デカイ城で、幼馴染みがその城の主の娘だった上、自分も何処ぞの一族の王の娘だったらしい。んでもって、どうしてそんなトンデモナイことを自分が覚えていないのかというと、封印とゆーもの施されているというのだ。そして、今この世界を牛耳っている悪い天帝というのを、自分たちに倒して欲しいな 、みたいな雰囲気にどうやらなっているらしい。 「うんうん。ありがち 」 もしもコレがファンタジー小説のあらすじとして告げられたものならば、水日はこう感想を洩らすだろう。しかし、これは誰かのファンタジックで少々ひねりのない陳腐な妄想なのではなく、現実だと言われてしまった日には、パニックの一つや二つ起こして当然だろう。 いや、パニックを起こす前に、 「・・引くよね」 信じることがまず出来ないのが当然の反応。しかし、夜衣から告げられた話はとても細かいもので、何より彼が嘘偽りを言っているようには思えなかったのだ。 そうして告げられた俄には信じがたい話を整理するため、頭はフル回転。眠りは当分の間訪れてくれそうにない。 「はァ」 水日が大きな溜息を零し、再び寝返りを打ったその時だった。 「水日 、起きてる?」 コンコンコン、という忙しないノックの後に、幼馴染みの声が扉の外からかかった。 風樹の声だ。 「起きてるよー」 ベッドから体を起こし、そう返事を返すと、すぐさま扉が開く。そこには、苦笑を浮かべた風樹がいた。 「いざ寝ようと思ったらムリでした」 「私も同じよ」 風樹が浮かべているのと同じ微笑を返し、水日は風樹を部屋の中へと手招いた。そして、ベッドの縁に腰掛け、隣に風樹も座らせる。 風樹は黙って水日の隣に腰を下ろした。 「・・・・」 「・・・・」 沈黙が降りる。 お互い、相手が何故眠れないのかは訊かずとも分かっていた。誰かといれば、この信じがたく、また信じたくない現実を忘れることができるかと思ったのだが、甘かった。すぐに何かバカな話の一つでもすれば良かったのだが、二人の間に流れてしまった沈鬱な雰囲気は、すぐさま二人の気持ちを沈ませ、ますます考え込ませてしまうという結果をもたらしてしまった。 仕方なく水日が開いた口からは、やはり今のこの現実についてのことしか出てこなかった。 「訊いてもイイかな? ・・・ココ、何処?」 「天界でゴワス」 「私は、何?」 「凶暴っス」 「」 額に青筋を浮かべ拳を振り上げた水日に、風樹が速攻で土下座する。 「スイマセン。神族とゆーものらしいです」 「うむ。正解!」 「・・・・・うん。正解、なんだよね、コレ」 「・・・・間違いであって欲しい!」 「うん」 と、二人が盛大に項垂れた時、 コンコン。 再び水日の部屋の扉が叩かれた。 そして聞こえてきたのは、 「水日、起きてるよね ?」 「よね、ってアンタ」 案の定、もう一人の幼馴染み、火陵の声。 何故か断定しつつの問いに思わずつっこんだ水日の代わりに、風樹が答えを返した。 「起きてるよ〜」 「あ。風樹もいるんだ?」 その問いの答えを自ら確かめようと扉を押し開いた火陵は、ベッドに二人が座っているのを見て、「やっぱり二人もか」と苦笑した。彼女もまた、幼馴染み達が眠れない理由を、彼女らの何とも言えない苦渋の表情から察したのだろう。 水日と風樹に手招かれるがまま、二人の隣に腰を下ろした火陵だったが、 「 」 「 」 「 」 やはり、三人揃っても、いつもの明るさは戻ってこなかった。 沈黙が落ちる。 今口を開けば出る話題は一つ。今自分たちの身がどんなオカシナ現状に置かれているのかということ。そして、その話題が辿り着くのは、「嘘っしょ?」「嘘だよ」「嘘ってことで」という、この現状を嘆きつつ、最後のあがきとして根拠なく嘘に仕立て上げるという、何の解決にも繋がらない愚行に成り果ててしまうことは一目瞭然だった。 故に、火陵は真剣に模索していた。そうした道を辿らず、かつ沈鬱なこの雰囲気を払い飛ばせるナイス話題を。 その為には今自分の中に巣くっている暗い気持ちを吹き飛ばすことが先決だと、火陵はブンブンブンブン首を振る。これでもかと激しく振る。 「おお、人間扇風機!」 「何してんの、この子は」 突然の火陵の奇行に、風樹と水日がそれぞれ驚き、呆れたが、火陵は気にしない。もしくは気付いていないのか。 その結果、火陵はついに見つけた。この雰囲気を打破するのに最良な話題を見つけ出したのだ。自分もつい先程知った情報だ。絶対に二人も驚くはずだと、火陵は胸を躍らせる。 (そうだそうだそうだ! これを言わずして何を言う!) 天明を見いだしたかの如く表情を輝かせる火陵。 最早、雰囲気を良くする為というよりは、とにかく言いたいだけ。自分が仕入れた超ビックリなネタを発表したいだけ。 火陵はこれでもかと声を張り上げて言った。 「聞いて!!」 いつもは聞き役に徹することの多い火陵が、いつになく喋りたいオーラを発しまくっていることに、風樹は面食らう。 「ど、どうしたよ、扇風機ちゃん」 「さっきね、螺照の奥さんに会ったんだよ!!」 「ちょっと、火陵、扇風機はスルー って、奥さん !!?」 まず絶叫をかましたのは水日。続く風樹も、 「あ、あの男、嫁がおんのかい!!」 目の玉をこれでもかとひん向いて思わず立ち上がった。 そんな二人の反応に満足したのだろう、ほくほくとした表情で火陵は代わる代わる二人の顔を見つめる。 「ね? ビックリっしょ」 「夜衣から聞いたどの話よりもビックリしちゃってるあたしがココにいます」 「私もよ」 「あ!! 子供も一人おりましてござる」 「螺照パパ !!」 「何変な絶叫かましてんのよ、風樹」 「いや、だってコレ!! どうよ!! ビックリじゃんかっ!!」 「ビックリはするけど、でもまあ、考えてみれば螺照もいい年だし、家族だっているわよ」 「ま、まあね」 すぐさま冷静さを取り戻した水日の言葉に、まだまだ絶叫したりないという風ではあったが、風樹も頷き、浮かせてしまっていた腰をベッドへと下ろした。そして、「家族と言えば・・」そう言って言葉を繋げた。 「あたしたちの家族が、王族ってゆーんでしょ?」 「ここは全くもって納得いかないのよね」 「しかも多分殺されちゃってるんでしょ? あたしたちのパパン」 「らしいわね」 そこまで黙って頷いていた火陵だったが、何か思い出したのか「あ」と声を上げたかと思うと、ズズイっと二人の方に体を寄せて言った。 「そう言えば、ママンは?!」 「あ! 全然聞かされてないよね!」 「でも、会いに来ないってことはさ、やっぱり 」 そこで水日は言葉を切ったが、残りの二人もその先に続く言葉は想像済み。 その感想を代表したのは風樹だった。 「うわ 、両親共に殺されてるって、何かすンごく悲劇のヒロインっぽい」 両親共に殺されているという悲愴な台詞を言うわりに、言葉に悲しみがこもらないのは全く実感が湧かないからだろう。自分の両親の存在すら、彼女らは覚えていないのだから。 やはり火陵も水日も、風樹と同様の理由だろう、表情を暗くすることはなかった。 「んで、そのヒロインに仇をとれっていう・・」 「いやいやいや、正直言わせてもらうとね ムリに決まってんでしょ!!!」 力いっぱいムリ宣言した水日の言葉に、火陵も「うんうん」と大きく頷く。そして、口を滑らせた。 「そうだよ〜、水日はともかく」 「どういう意味かなァ」 聞き逃す水日ではない。 に っこりと華やかな微笑みの隣で、ぎゅっと握り締められた拳が揺れているのを見つけた火陵は「しまった!!」と顔を青ざめさせる。水日ならばその一撃必殺の空手と怪力を持って戦うことが出来るだろうと、バカ正直に口に出してしまったのだ。 一触即発、この緊急を要する事態に、意外にも風樹が冷静に対処した。 「だって、あたしと火陵はヒロインなんてキャラじゃないからさ。ね、火陵」 「そ、そうそうそう!」 風樹の見事な機転によって、水日の拳が消えた。 「そうよね、この水日ちゃんこそヒロインにピッタリよね 」 オホホホホホホ、とTHE お嬢な笑いをしている水日の隣で、風樹のおかげで水日の拳から逃れた火陵が命の恩人の手を両手で取っていた。 「ありがとう、風樹! ナイスフォロー!! 愛してる! 助かった!!」 「ふふふ。風樹ちゃん、悲しいことに慣れてますから、こういうの」 「ありがとう! 今度からは見てるだけじゃなくて助けるから! この恩は返すから!! たとえ水日の鉄拳の餌食になろうとも助けるから!!」 「火陵・・・!!(号泣)」 「風樹 !!(号泣)」 そんな茶番劇を続けさえるわけにはいかない。フィニッシュはやはり、 「おい、コラァ!! どーゆー意味だ!!!」 全速力での鬼ごっこ。捕まればTHE END。鬼ごっこの? ノンノン。勿論、人生のエンドである。 水日の怒号を合図に、立ち上がった三人だったが、 「「「 」」」 鬼ごっこは始まることはなく、そのまま三人は徐に腰を下ろした。見知らぬ部屋の中をドタバタと駆け回ることに、大いに気が引けたのだ。 ベッドに座り直した三人は、この一連の流れは忘れることにして、話を戻す。 「まあ、その・・・力ってので、戦うんでしょ?」 火陵のその言葉に、風樹は盛大に首を捻った。 「・・・って言われても、ゲームや漫画のシーンしか思い浮かべられないんですけど」 まったくもってその通りだと頷く火陵に、水日が一瞬の躊躇いの後、問うた。 「火陵は火・・・出せる?」 「・・・・・・・・・・・・・どーやって!?」 「呪文?」 適当な水日の答えに、 「・・・・・・・よし!」 火陵が覚悟を決めた。 「「よし??」」 何がよしなんだと二人が訝しげに見守る中、火陵は真剣な表情で考え込む。どうやら火を出すための呪文を考えているらしい。水日の適当さ極まりない言葉を単純にも信じ込み、お馬鹿なコトに真剣に頭を回転させてしまっている火陵なのだが、その整った顔に真剣さを滲まされては、ついつい見ている方も期待してしまう。 水日と風樹が固唾を呑んで見守る前で、ついに火陵はカッと紅に染まった瞳を見開き、両の掌を翳し、そして唱えた。 「ファイヤ ッ!!」 「「おおおおおッ!!」」 シ ン・・・ 「「・・・・・・」」 何も、起こらない。大袈裟なアクションと気合いとで、「これはもしかして出ちゃうんじゃないの〜?」と大いに期待していた二人だったが、ガッカリである。 しかし、 「////////」 「おおっと、火陵の顔から火が出ましたよォ、水日さん!!」 「ある意味成功 ナイスファイト、火陵」 「は、恥ずかしひ//////」 「はい、よしよし」 己の愚行に恥じ入る火陵の背をポムポムと撫でつつ、今度は風樹が水日に持ちかける。 「次、水日! 水を出してみよ」 「オッケー!」 気合い十分。水日が答えた。 何やら自信満々の水日の態度に、火陵と風樹は「これはもしやいけるかも」と顔を見合わせる。そんな二人の気合いのこもった眼差しを受けながら、水日は考える。 「うーん。呪文じゃないなら・・・」 そして、水日は徐に瞳を閉ざした。 「「お」」 何やら始まるらしい雰囲気に、二人は息を呑む。 しばしの沈黙の後、 「むむむむむ 」 水日が唸りだした。 「念だよ、風樹!」 「念じてるよ!!」 「むむむ 」 「ドキドキだね」 「ワクワクだね」 「むむむ !」 「ドキドキ★」 「ワクワク☆」 「むむむ !!」 「ドッキドキ〜♪」 「ワクワック〜♪」 中略。 「 あと一時間くらい待ってくれたら出そうよ、ココから」 言って水日が指差したのは、己の額。 「汗かいッ!!!」 「ちょっと、水日さん! さんざん待たせてそういうオチなのですか!!?」 非難囂々。 ブーブーブーブー文句を垂れる二人に、水日が拗ねて唇を尖らせる。 「仕方がないでしょ。出ないもんは出ないんだから。そんなに言うんだったら、風樹やってみなよ」 「いいよ、任せとけってんだ!」 自信満々。気合いも十分に、袖をまくり上げた風樹に、火陵が自分の髪を結っていた紐を解き差し出した。 「コレ! コレを風で揺らしてみよ」 「ラジャー!!」 元気の良い返事を返すなり、真剣な表情に転じた風樹に、火陵と水日は顔を見合わせる。火陵はじっと手に持った紐を見つめ、水日はその紐と風樹の真剣な表情とを交互に見遣る。 「 ・・・」 しばしの沈黙の後、風樹が動いた。徐に両手を紐へと翳したのだ。 そして、気合い一発、 「 ハッ! ふ〜っ!!」 紐が、ヒラリと揺れた。 「ス、スゴ イ!! 揺れた! 揺れたよ、風樹 っ!! おめでと う!!」 「ありがと、火陵 !!」 「ちょっと待て い!!」 「なに?」 「なに? じゃないわよ、風樹!! 単純な火陵は騙せても、私は騙されないわよ」 「た、単純て」 密かにショックを受けている火陵を尻目に、水日は真実を暴く。 「アンタ今息でふ〜、ってやったでしょ!!」 「まっさか、いくらあたしでもそんなこと やりました!! ええ、やりましたとも!!」 「開き直るな!!」 「私の純情を弄びやがって !!」 「いや、火陵もそこまで怒らないでよ。ってかちょっと表現間違ってるから」 「あれ?」 水日が風樹に火陵にと、忙しく、しかし的確なツッコミを入れ終え、溜息を吐きだした。 「はぁ。やーっぱムリだよね〜。騙されてんのかな、私たち」 その言葉に、火陵も風樹も押し黙る。 「 」 火陵の瞼裏に思い出されたのは、全てを語ってくれた夜衣の真剣な瞳。 おそらく風樹も、そして騙されているのではと言った水日でさえも、同様のことを思い出しているに違いない。 しばしの沈黙の後、三人はそろって大きな溜息を洩らした。 そして再び沈黙が訪れる前に、徐に風樹が口を開いて言った。 「 何かさ、こーゆーのって憧れじゃなかった?」 その問いに大きく頷いたのは火陵だ。 「うんうん! テスト中とかよく考えたりしたよね。自分が実は異世界の人間で呼び戻されちゃったりして。お姫様だったりしてね」 「そうそうそう。もう勉強したり就職したりしなくてよくて・・・。現実逃避してたわ 」 三人はそれぞれ思いを巡らせる。 よくテレビアニメや漫画を見ては、辛い時、自分もこの主人公のように、 鬱陶しいしがらみの多いこの世界から抜け出せればいいのにと思ったものだった。 そして、大勢の内の一人でしかないこの現世とは違い、 他の世界では自分一人が求められている、といった自己顕示欲を満たすことのできる妄想を繰り広げたものだった。 それらは皆、懐かしい思い出。 ひとしきり思い出を愛でた後、三人は急に表情を暗くした。そして、風樹が突然立ち上がった。 「んがしか し!! 実際やられると、どうよ、コレ!?」 「とんでもなくトンデモナイです(涙)」 「あの勉強に追われてせせこましかった日常こそが幸せだったんだなって思えてくるわ・・」 そんな二人の感想を「うんうん」と首を縦に振りつつ聞いていた風樹だったが、 「風樹ちゃん、叫びたくなってきた」 唐突にそんな言葉を洩らした。 「「は?」」 突然何を言い出すのかと、盛大に眉を寄せた火陵と水日が止める間もなく、風樹は両手でメガホンを作った。そこから絶叫が飛び出すかと思われたが、 「幸せな日々よ、カムバ むぐっ」 火陵と水日の手によってそれは阻止されていた。 「気持ちは分かるけど、やめれ」 「ここ私の部屋なんだから、勘違いされるでしょ!」 「スンマソン」 おとなしく風樹が詫びたところで、水日はぼふっとベッドに倒れ伏した。さんざん騒いだ所為で、疲れたのだろう。今なら眠ることができそうだった。 「もう寝よう! 寝て、幸せな夢を見るのよ!!」 そう言って水日は二人を手招く。一緒に寝ようと、そういうことらしい。 それを察した二人も、水日を挟むようにしてベッドに横になった。三人が並んでも、ベッドには十分すぎるほどの余裕があるのがありがたかった。 「じゃあ、おやすみ。火陵、風樹」 「おやすミントチョコ」 「はあまり好きじゃないんだよね、火陵ちゃんは」 「りょーかい☆ お休み〜。火陵、水日」 「お休み〜」 「 何よ、今の連係プレー」 いつの間にか迫ってきていた眠気によって、急速に意識が遠のいていくのを感じる。 けれど、不安はまだまだ醒めない。もしかしたら夢の中でも今この現実のように悩んでいるのかもしれない。 そう思うと眠気は一瞬、遠ざかる。 極力何も考えないようにと思いつつ、しかし三人は消せなかった。 (((ああ、こっちが夢なら良いのに・・・!))) 明日の朝目覚めた時、いつものあの天井に戻っていますように、という願いだけは 。 |