おや、雪が降り始めたようだ。
もうすぐ冬が来るんだな。
お前は、雪は好きかい?

そうか、そうか。
…昔、わしの知り合いに、やはり雪が好きなやつがいたよ。

わしか? …わしは、あまり好きじゃないんだよ。
おお、そうだ。
そう言えばお前は、White Square白い広場を知っているかい?

…そう。この深い森の奥、
永遠に溶けることのない雪に覆われたWhite Square。

ああ、そうだ。よく知っていたね。
そう、大きな木のある広場だ。

じゃあ、この話は知っているかい?
その木の根本には氷の柩があって、
その中では一人の人間が、ずっと昔から眠っているんだ。

ん? ははは。ああ、そうだね。
そうさ。まるで眠り姫だ。
でもね、このお姫様は、起きないんだよ。

王子様? 王子様も、あの広場には辿り着けないだろうね。

何故って、それはね、その広場には五人の騎士がいるんだよ。
雪の塊でできた、白い騎士がな。
だから、王子様は広場には入れないんだ。
入れたとしても、お姫様に、キスは届かない。

そう。届かないんだ。
お姫様は…氷の中で眠っているんだから。
王子様のキスは、氷に邪魔されてしまう。分かるかい?

ああ、そうだ。起きないんだ。きっと、これからも。
ずっと、ずっとな…。

この話が聞きたいって?
…あまり、楽しい話ではないぞ?

そうかい。じゃあ、聞かせてあげようかね。

真っ白な 真っ白な 雪景色に隠された、

遠い日の物語を…



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