小説処【えん】





「後神の憂鬱」第2話より
イラスト:寿

「私、藤のこと───」
「カアアアアアアアァァァァァーーーーーーーーーッッ!!」
「きゃっ」
「え!?」
 突如、私と椿さまの眼前を、
「丈爺さま!!?」
 丈爺さまが、凄まじい早さで飛んでいった。
 丈爺さまはそのまま先の木に盛大に顔面からぶつかり、ボトリと地面に落ちた。
「───
「こ、この烏は、いったい・・・?」
 突然、間に割って入ってきた丈爺さまに、椿さまは目を丸くして地面に落ちた丈爺さまを見つめている。
 彼女の瞳には、丈爺さまはただの烏にしか写っていないようだった。
 一体、何だと訊ねられれば、
「これは、天狗様のカラス様です」
と答えることは出来る。だが、一体どうしてと問われれば、私も首を捻るしかない。
 と、地面に落ちたままになっていた丈爺さまが不意に顔を上げ、バサバサと飛び上がる。そして、ご自身が私と椿さまの間に飛び出す元凶となったお方の方へとまっしぐらに飛んで行った。
 それは、祠の中。
「バカ若ァァァァァ! な、な、な、何をなさいますかーーーーーーー!!」
 再び、ビュンッ! 私と椿さまの前を突っ切って祠の中に飛び込んでいく丈爺さま。
「・・・・悪い。手が滑った」
 どうやら、手が滑って・・・・・・って、どういう状態なのか、全く分からないけど、とにかく火群様が丈爺さまを投げたらしいことはうっすらと理解した。

ヤキモチ天狗さまと、ぶっ飛び丈爺 爺のちっちゃなあんよが可愛すぎっ