******************************************* 「は? いつから??」 怪訝そうな顔で、聞き返された。 「いつからって言われても・・・」 「・・・え? 分かんないわけ??」 「・・・・・」 「はァ? 何ソレ」 分からない。 いつから好きだったのかなんて、分からない。 そもそも何故好きなのかも分からないと言ったら、お前はもっと不機嫌な顔をするんだろうな。 ずっと一緒に居すぎて、いつから好きだったのかなんて分からない。お前のどこをこんなにも好きになったのか、それも分からない。 それでも、イヤだと思ったから。 お前が俺のそばから居なくなる───? そう思った時に、何をしてでも、どんなことをしてでも、俺のそばにとどめておきたいと思った。 離したくないと思った。 なあ。これはもう、好き、だろ? 好きになった理由なんて、後で探せばいい。お前の納得する理由なら、後で探すから、とりあえず。 「とりあえず、行くな」 「─────」 行かないでくれ。 伸ばしたこの手を、どうか、取って欲しい。 みっともなく震えているこの手を、笑ってくれていいから、握ってくれ。 「・・・何、この手」 「何でもいいから、取れよ」 「はァ? さっきから、何? ・・・取ればいいわけ??」 おもむろにのばされた俺のものよりも小さな手。 早く、触れてくれ。 一度触れたなら、俺はもう、手放さない。 「ただ、気をつけろよ」 「は?? 取れって言ったり、今度は気をつけろ? 何それ───」 「一度握ったら、もう離さないから」 「──────」 離してやらない。 一生、つなぎ止めて、離してなんてやらない。 それでも良いなら、この手を取って。 「・・・もし、取らなかったら?」 「消えるよ、俺は」 「ひ、卑怯だ」 そうだよ。俺は卑怯なんだ。俺がこう言えば、お前が断れないことを知っている。知っていて言ってるんだ。 それでも、無理矢理にでも、抱き寄せてしまいたい。 抱き寄せて愛を告げて、そして、それからでいいだろ。ちゃんと、お前を惚れさせるから。 「いいから、取れよ」 差し出した手のひらが、冷たい。 早く、温めてくれ。 「だから、お前、卑怯だって・・・!」 「うん。知ってる」 「・・・爽やかな顔で言うなよ」 そろそろとのばされる手を待つのがじれったくて、届く前に、掴む。 「あっ! ちょっ・・!」 「ありがとう」 「・・・っ! 卑怯だ」 赤い頬が、愛しくてたまらない。 手のひらの中に得たぬくもりが、熱くてたまらない。 「もう、離さないぞ」 「・・な、何だよ、もう/////」 何でもない。 ただ、 「好きだ」 それだけ。 ずっと告げられなかった言葉を、今告げただけ。 これからずっと告げると決めただけ。 「好きだよ」 「もう、いいって////」 「好きだ」 「だからもういいって!」 何度告げても、尽きることのない言葉を。 手放してやれない代わりに、一生言い続けてやろう。 「好きだよ」 「─────うん」 さあ、始めようか。 今更、だけど───。 |